映画「燃えよ剣」 司馬遼太郎原作 原田眞人監督

 

2020年5月公開予定が、コロナの影響で2021年10月15日に公開されました。

 

原作を読んだ方もあられるかもしれませんが、司馬遼太郎氏の代表する有名作です。他にも「坂の上の雲」や「竜馬がゆく」なども人気作ですね。

 

近年では「関ヶ原」も映画化されていました。こちらも今回の主人公を演じた岡田准一さんが石田三成を演じておられました。

 

今回、岡田さんが演じるのは、幕末時代、京都で活躍した新選組の副長、土方歳三。

 

土方歳三と言えばこれまでも多くの作品に登場してきましたが、局長の近藤勇をささえる、新選組のブレーンであり、隊士には厳しい規律で統率した鬼の副長というイメージですね。

 

確かに今回もそういったところを存分に見せてくれるのですが、武州弁を話したり、歩き方が田舎の農家の人のようで笑わせてくれるユニークなキャラを演じております。

 

他のキャストでは、近藤勇を鈴木亮平さん、沖田総司を山田涼介さん、芹沢鴨を伊藤英明さんはさすがの演技力と殺陣と思いました。あと意外だったのは、藤堂平助を金田哲さん、山崎丞を村本大輔さんとお笑い芸人がなかなか上手な演技をしていたのが良かったです。

 

池田屋騒動で生き残った長州藩士など細かい史実も絡めてあり良かったです。

 

原作にある宇都宮城奪取とか宮古湾海戦があればもっと良かったです。

 

小説ですので多分にフィクションを含んでいるのですが、やはり土方が一番かっこよかったのは最後に函館一本木関門で敵の拠点に一騎で「新選組の副長が用があるということは切り込むということだ」と言って突っ込んで行くところですね。

 

時代を大きな目で見ると、時代の流れに逆らい、古い時代に固執した愚かな人たちに思われるかもしれませんが、関東の田舎で一旗あげて武士になりたいと思った農民の若者たちが京都での池田屋騒動で幕府に認められ武士となり、最後まで幕府に忠誠を尽くしたという儚くも潔いところが現代まで多くの支持者を出している理由と思います。

映画「峠 最後のサムライ」 司馬遼太郎原作 小泉堯史監督

 

こちらもコロナの影響を受けて公開が遅れた作品ですね。

 

こちらも司馬遼太郎氏の作品ですが、実は私は本を読んだことがありません。そういうこともありいまいち物語に入り込めないところがありました。

 

役所広司さんの演じる主人公、河合継之助は北陸の長岡藩の家老で幕末の戊辰戦争の時に新政府と旧幕府派との間の中立を選ぶのですが、最終的には新政府軍と戦うことを選びました。

 

河合と新政府の交渉は一方的に新政府側に打ち切られるように描かれていましたが、史実とか原作ではもっと何度も粘り強くやったのではないかと考えられます。なにせ一度戦争という方向に舵を切ってしまえば、長岡の町が火の海になりますし、少数で万を超える軍と戦うので多くの命が奪われてしまうのですから。こういうこともあり、現在でも長岡の方では河合継之助は長岡にとっていい人だったのか、悪い人だったのか賛否両論あるようです。
河合の考えとしては、新政府に降参してしまうと、これまで良好な関係だった奥羽列藩同盟への攻撃の先兵にされるだろうことが、武士としてはとてもできないと考えたのかもしれません。

 

最後のシーンですが下僕に屋敷に火を放たせて死ぬのですが、ここもいきなり出てきてよく分からなかったのですが、あとで河合のことを調べてみますと、新政府軍との戦いの最中に受けた傷がもとで破傷風になり、それで動けなくなり死を悟ったということでした。

 

外国から日本にこれまでなかったガトリング砲という武器を独自に手に入れたりする先進的な一面もあったようです。しかし戦闘シーンを見ましたがとても大軍相手には役に立ちそうには思えませんでした。谷だとか虎口だとか狭い所に誘い込んだら役に立ちそうですが。

 

また新政府軍に落された長岡城を奇襲で一旦奪い返すという戦略家の一面も知りました。

 

しかし、「燃えよ剣」ほどの思い入れはもてなかったです。